ふじかわきっず通信

生後2ヶ月からのワクチン(ロタワクチンとB型肝炎ワクチンについてー風疹騒動と子宮頸癌ワクチンの副反応についてもー

<乳児期の任意接種ワクチン>
   

「生後2ヶ月からワクチンを」が、平成25年4月からのインフルエンザ菌b型(以下ヒブ)ワクチン、肺炎球菌ワクチンの定期接種化にともない小児科医のキャッチフレーズになりました。しかし、同時期に任意接種として開始すべきワクチンとしてロタウイルスワクチン(生後6週から15週までに開始)とB型肝炎ワクチン(生後2カ月以降から開始)があり、乳児期早期の赤ちゃんのワクチン予約をお受けするときに、接種希望を伺わせていただいています。今回はこれらワクチンの概要と必要性について述べます。  
    


ロタワクチン  


ロタウイルスは、2歳未満のお子さんに主として感染し、数日間にわたる高熱・嘔吐・下痢を呈する重症なウイルス性胃腸炎を発症させ、発展途上国を中心に年間数十万人の乳幼児が死亡しているとされています。先進国では死亡例は稀ですが、脱水や痙攣で入院することがあり、近年、乳幼児期に罹患しなかった小中学生の発症も少なくない印象です。   
   

当院では、2種類あるロタワクチンのうち ロタリックス(製品名)を4週間隔で2回接種していますが、希望される方にはロタテック(製品名)を4週間隔で3回接種します。両者の差は接種回数だけでなく含有するロタウイルスの数(ロタリックス 1価、ロタテック 5価)が異なりますが、現時点では「予防効果に差がない(交差免疫のため)」とされています。効果は発症を90%以上予防し、万一罹患した場合でも軽症ですむようです。  
 
安価ではない(1回 1万3000円)ワクチンですが、予防接種を始められる赤ちゃんにヒブ、肺炎球菌と同時に接種(飲むだけですが)を検討してください。  


B型肝炎ワクチン   

  
B型肝炎は、かって日本の国民病とよばれ、B型肝炎ウイルスを有する母から赤ちゃんに感染し、赤ちゃんが壮年期以降に慢性肝炎、肝硬変、肝がんを発症してきました。1980年代に母から赤ちゃんへの感染を予防する手段が確立し、日本国内から急速にB型肝炎ウイルス保有者が減少しました。しかし、近年、思春期以降の性交渉による新しいタイプのB型肝炎(a型)(従来の日本のB型肝炎はc型)が増加し、都市部で新規に見つかるB型肝炎は半分以上がa型になりました。このB型(a型)肝炎は、劇症肝炎になり一気に重症化する率や壮年期以降に肝硬変・肝がんになる率が高く、より感染予防が重要になりました。B型肝炎は、母児感染や性交渉だけでなく、保育所などの集団保育での流行も散見され、乳児期からの予防が大切なワクチンとして世界保健機構(WHO)も強く推奨しています。日本でも定期接種化が見込まれていますが、乳児期の予防接種が免疫の持続性からも重要と考えます(日本では生後2ヶ月から開始できます)。  
  


<風疹の流行と風疹ワクチンについて>  


昨年の日本の風疹患者数は世界第四位(中国、ルーマニア、バングラデシュについで)でしたが、今年も年始からの大流行が持続し、危惧されていた先天性風疹症候群の赤ちゃん出生の報告が続いています。風疹自体は「3日はしか」とよばれていた比較的軽症のウイルス感染症ですが、妊娠初期に母体が感染すると先天性風疹症候群(心臓奇形、難聴、視力障害など)の赤ちゃんになる可能性があります。先進国では以前から当然のように男女とも幼児期に2回ワクチンを接種し病気自体を根絶してきましたが、日本では男女に2回定期接種されるようになったのが6年前で、昭和54年4月2日―平成7年4月1日生まれの男女は接種率が低く、昭和54年4月1日以前生まれの男性は定期接種の機会がありませんでした。
今回、流行を受けて各自治体が上記世代の風疹ワクチン(はしか風疹ワクチンでも可)の公費援助をはじめましたが、国内には幼児用のワクチン数しか製造されておらず、早くも枯渇状態で当院でも幼児(特に1歳台の初回接種)を優先せざるをえなくなりました。
今年は風疹患者数世界一の不名誉な1年になりそうですが、長年のワクチンギャップ(先進国の中でワクチンの種類と回数が極端に少なかった)の弊害が如実に現れています。  


<子宮頸癌ワクチンと副反応>

春先から、子宮頸癌ワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン、以下HPVワクチン)に副作用とされる全身疼痛などの報道が続き、6月14日に厚生労働省からHPVワクチンの接種を暫く「積極的には勧奨しない」と決定しました。今回の全身疼痛は「複合性局所疼痛症候群」と呼ばれるもので、予防接種とは関係のない単なる輸液や注射の後でも見られるものです。HPVワクチンを以前から接種している英国(接種後に8名)、米国(接種後に7名)でも報告されていますが発生頻度が他の原因の発生頻度と変わらないため、HPVワクチン特有の副作用と考えていないようです。
日本では既に延べ865万回接種され接種後の持続性疼痛症例は38例(未回復は8例)が報告されていますが、副反応例とされる患者さんたちの検討の報告を待つとともに、年間約2500人の女性の命を奪う子宮頸癌(現在のHPVワクチンで防げるのは約1500人程度)をワクチンで防ぐことの重要性、ワクチンで防げない子宮頚癌を早期発見するため、検診率をいかに上げるかも再考される問題だと思われます。


追記:平成25年4月、日本小児科学会が任意接種の「水痘ワクチン」「おたふくかぜワクチン」を2回接種にするよう勧告しました(地味?でマスコミは誰も取り上げてくれませんが)。麻疹、風疹同様、生ワクチンでも2回接種しないと免疫が長期に維持できないことが判明した結果です。水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンを1回接種して、その後罹患せずにすんでいるお子さんに2回目の接種を考慮してみてください。

2013年7月03日
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