ふじかわきっず通信

乳児健診の楽しさ、奥の深さ  kodomo21.gif

4月15日(水)は、午後から箕面市の乳幼児精密健診(すこやかクリニック)に出務してきました。
この健診は、集団健診(4ヶ月、1歳半、3歳半検診)や開業医での乳児後期健診(9-12か月)で異常を疑われた乳幼児達のためだけの二次健診です。箕面市では私が18年間続けています。

一次健診で異常の可能性ありと言われたお母さん(お父さん)は、不安一杯で受診されてきます。
「体重の増えが悪い」、「首が据わっていない」、「歩けない」、「言葉が出ない」などなど、一次健診では月齢に合わせてクリアカットに振り分けられざるを得なかった子供たちが受診されます。
ほとんどの乳幼児は個人差(体重の増えが悪いお子さん → やたら元気でよく動くため太れない、ご両親が小柄で遺伝的に体格を引きついでいるだけ等)で、医療的な精密検査や経過観察が必要なお子さんはごく一部です。


私たちのクリニックでも、月曜日の特殊外来で、乳児後期健診を中心とした個別健診を行っていますが、1-2割のお子さんは、育児書や母子手帳に照らし合わせると、少し発達がゆっくりですが、数か月にわたって経過を見ていくと異常がないことが殆どです。今回、乳児後期健診を例にとり、よく見られる遅れ、お母さんの不安点などについて述べます。


bd_kodomo13.gif 1)体重の増えが悪い
出生時の体重が少なくないか、ご両親の身長が低くないか、母乳栄養の場合に十分にのめているか、身長の伸びはどうか、正常曲線に対して平行に増えているか等、確認します。母乳栄養児で、離乳食がなかなか進まない赤ちゃんは、1歳前後まで待っていると食べるようになることが多いです。
いずれにしろ、栄養不足で体重が増えない、病気があって体重が増えないことは稀です。
必要時(希望時)には栄養士による個別の栄養相談も受けられます。


bd_kodomo13.gif 2)運動発達が遅い
這い這いをしない、お座りが不安定、体が柔らかいなどの質問をよく受けます。最も心配される原因は、脳性麻痺ですが、母子手帳でお産の状況を確認(未熟児、難産、仮死状態で生まれていないか等)し、赤ちゃんの自発運動の自然さ、誘発させた反射が不自然ではないかを観察します。足を手でつかみ口に持っていく動作は、脳性麻痺(下肢)がないことを示す心強いサインです。多くは異常な反射・運動を認めないsimple delayですが、3か月以上の遅れがある場合は、経過観察させていただきます。


bd_kodomo13.gif 3)知的発達が遅い(笑顔がない、視線があわない、バイバイしない等)
赤ちゃんは、生後5か月ごろまでは、あやすとよく笑ってくれますが、乳児期後半になると人見知りが目立ち始めます(正常です)。しかし、同時に、盛んに親以外の人に視線を合わせて、話を聞くしぐさをします。診察で親から離したために泣き出した乳児も、お母さんの腕に戻るとすぐに泣きやみます(安心です)。知的発達の遅れだけでなく、児童精神病(自閉症、注意欠陥多動症候群など)の初期兆候が乳児期から認められることが最近のトピックで、乳児の人間への興味の向け方を注意深く観察します。


bd_kodomo13.gif 4)母乳について
「いつ断乳しましょうか?」という質問を時々受けます。外国では、断乳という言葉がないようで、卒乳(赤ちゃんが自ら欲しがらなくなる)という表現が一般的です。母乳をやめる時期は、欧州では「2歳以降」、アメリカでは「いつまででも」と記載されています。有名な小児科医、川崎富作先生(川崎病の発見者)は、小学校に入った後も、帰宅して最初にするのが母からの授乳だったというのは、小児科医の間では有名な話です。お母さんの体調、社会的状況(仕事復帰)などが許す範囲で、赤ちゃんが「もう満足しました」と離れていくまで続けるのが理想的です。


bd_kodomo13.gif 5)三つ子の魂、百まで
先人の言い伝えで、驚くほど的を得ている格言は数多くありますが、これも実にすばらしい格言です。「3歳までに獲得した資質は、生涯、その個人の中で生き続ける」との意味と考えますが、3歳までの子育ての大切さ(周囲の人が多くの愛情を赤ちゃんに注ぎ込むことで、赤ちゃんの将来の情緒の安定性、前向きな心、思いやる心が生まれる)を述べています。
決して母のみが育児に専念しろ、保育所に預けるなということでなく、可能な範囲で父も含め、子供と時間を共有し、褒め愛する態度が赤ちゃんの心を平穏にし(心の安全基地理論と呼ばれています)、将来、心の健康な幼児、小学生、大人と育てていくでしょう。抱き癖は大いに結構です、母乳を長く飲んでも虫歯になりませんし、歯の形も変わりません。2歳までは、褒めて育てるが子供の可能性を伸ばす大きなコツのようです。


bd_kodomo21.gif 蛇足その1
また少し横道にそれた話になります。私自身は、小児科医の仕事で乳児健診が最も楽しみ(お母さんの幸せの顔、順調に発育していく子供たちとその笑顔が見れる)と考えています。日本の未来を輝かしいものにするのは、日本中での健全な子育てがおこなわれるかに依存していると考えているのですが、先日、1年間、児童虐待で警察、役所に相談があったのが15万件!!と報道され(氷山の一角)、乳幼児期に虐待にあった子供たちの将来が心配されます。


bd_kodomo21.gif 蛇足その2
今年も百日咳の大流行が始まっています。大人の長引く咳の30%が百日咳の報道が、今朝の朝日新聞で報道されました。すぐ近くに、ワクチン未接種の乳幼児がいた場合には、できるだけ早く隔離する措置を取ることを勧めます。また、ワクチンをお済みでないお子さんは早く始めて下さい。新生児。早期乳児がかかれば死ぬこともある病気です。


bd_kodomo21.gif 蛇足その3
昨年同様、ロタウイルス腸炎の流行が、始まっています、高熱、おう吐、黄白色の下痢が特徴(今年はやや軽症です)で、4-5日は続きます。周囲への感染力は激烈で、周囲のお子さんを特に守らなければなりません。


bd_kodomo21.gif 蛇足その4   honeybee4.gif
4月12日(日)に近畿外来小児科学会に参加してきました。興味深い発表に、蜂蜜(市販)が(のど風邪の)咳止めに有効であるとの報告がありました。海外からも有効性についての論文が出ているようです。                                 honeybee4.gif


kodomo13.gifP.S.
乳児健診は、月曜日の午後3時から4時30分の間に予約制(代表電話へ)で行っています。母子手帳内の健診票(1歳未満ならいつでも)、4ヶ月検診で渡される乳児後期(9か月以上1歳未満)健診票で、1歳までに2回無料健診が可能です。また、月齢、年齢に関係なく、発達について心配なお子さんについても有料で健診を行っています。豊中市以外のお子さんも大歓迎です(乳児後期健診票(無料券)は大阪府のお子さんのみ使用できます)。

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2009年4月18日
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