ふじかわきっず通信

ムンプス(おたふくかぜ)ワクチンと水痘(水ぼうそう)ワクチンの重要性

豊中市でも麻疹(はしか)の中学生患者が発生し、学級閉鎖にもなりました。麻疹は、国がやっと重大な感染症という認識をもち、遅まきながらワクチンの2回接種(MRワクチン)が開始されました。(今春から中学1年、高校3年にも)。しかし、自然感染にて長期の隔離と重大な合併症を呈しうるおたふくかぜと水痘(水ぼうそう)は、現在も任意接種(自主的に医療機関を受診し、自己負担で希望した場合にのみ接種)のまま放置されています。世界のまともな国で、当然のように公費接種されている予防接種が、わが国ではいずれも30%未満の接種率で、毎日のように罹患した患者さんが受診されます。今回は、この2つの感染症のワクチンの重要性について書きます。


%E3%81%AF%E3%81%A3%E3%81%B1%EF%BC%91.gif1)ムンプス(おたふくかぜ)について

おたふくかぜは、ムンプスウイルスの感染で発症し、耳の下(耳下腺)の腫れと発熱を認めます。約1週間、腫れが持続し周囲の人に感染させる可能性があるため、登園・登校が禁止されます(第二種学校伝染病)。自然感染に続発して、髄膜炎(約5%)、膵炎(4%)、睾丸炎(思春期以降で25%)などを合併し、入院加療を要することもあります。最も重要な合併症は難聴で、頻度は約1000人に1人とされていますが、極めて難治性かつ重症で、ほぼ回復が期待できません。

一方、ワクチンは1歳以上で接種可能で、有効性は90%以上です。生ワクチン(弱毒化したウイルス接種)のため、極めて稀に(自然感染の100分の1程度)髄膜炎を呈しますが、他の合併症は殆ど認めません。極めて接種メリットの大きなワクチンだと思います(海外では、麻疹・風疹ワクチン同様、ウイルス抗体の低下に備え、2回接種が一般的です)。


%E3%81%AF%E3%81%A3%E3%81%B1%EF%BC%91.gif2)水痘(水ぼうそう)について

水ぼうそうは、帯状疱疹ヘルペスウイルスの初感染時に発症し、全身に紅色疹を伴う水疱が出現(頭皮にも)し、重症の場合は高熱を呈します。極めて強力な感染力にて、幼稚園など集団内で患者がでると、未接種の子供たちは次々と感染していきます。最も恐ろしいのは、何らかの免疫抑制状態(ステロイド剤の服用中など)で感染すると致死的経過をたどることです。また、出産前の妊婦が発症すると、赤ちゃんは重篤な全身水痘(約25%が死亡)を発症します。

水痘ワクチンは、他の生ワクチンに比べ発症抑制効果はやや劣りますが(50-60%)、接種による軽症化効果は大きく、隔離必要期間も半減できます(約6日→約3日)。水痘患者さんと接触が確認された時、3日以内に接種すると感染予防・軽症化が期待できます。未感染の子供には、集団生活を始める前に、ぜひ済ませておきたいワクチンです。


%E3%81%AF%E3%81%A3%E3%81%B1%E3%82%A6%E3%82%B5%E3%82%AE.gif  蛇足ですが・・・
今年の後半に、インフルエンザ桿菌b型ワクチン(通称 Hibワクチン)が接種可能となり、肺炎球菌ワクチンも1-2年のうちに導入される予定です。この2つのワクチンの実用化により、小児の重症細菌感染症はほぼ根絶すると考えられ、小児の感染症は治療から予防(ワクチン)へ一層転換していくと考えます。「念のため抗生物質」の多用による耐性菌の増加にも歯止めがかかり、保育所や幼稚園に通う子供たちの長引く中耳炎や副鼻腔炎も減少していくことでしょう。これらワクチンが早期に定期接種化(無料化)され、乳幼児全員への接種が進めば、大きな子育て支援になると思います。

2008年5月17日
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